2025年1月12日日曜日

 【夜明け前拾い読み-13】

徳川幕府が諸藩を統制する目的に遂行されてきた参勤交代制度が実質廃止されようとし、幕府威光の陰りが現実的となってきました。それは街道筋にも様々な影を落とす可能性も高まってきたようです。

以下本文抜粋しました。

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かねてうわさには上っていたが、いよいよ諸大名が参覲交代制度の変革も事実となって来た。これには幕府の諸有司の中にも反対するものが多かったというが、聰明で物に執着することの少ない一橋慶喜と、その相談相手なる松平春嶽とが、惜しげもなくこの英断に出た。言うまでもなく、参覲交代の制度は幕府が諸藩を統御するための重大な政策である。

これが変革されるということは、深い時代の要求がなくては叶わない。この一大改革はもう長いこと上にある識者の間に考えられて来たことであろうが、しかし吉左衛門親子のように下から見上げるものにとっても、この改変を余儀なくされるほどの幕府の衰えが目についた。

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#夜明け前

#島崎藤村



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